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# MONEY
2009/07/03 01:28
火の車が追ってくる



 四ッ谷駅から職場までの道の途中に、ベルギー大使館がある。今改装工事の終盤を迎えているとてもおしゃれでバカでかい大使館を見ながら、これだけ大きいということは、日本とベルギーはとても有効な関係を結んでいるんだな、と推測したが、実のところよく知らない。
 それともう一つ思った。
 この建物を全くの一個人が、よくわかる例で言えば日本へお忍びで来た時の、今は亡きマイケル・ジャクソンを思い浮かべてもらえればわかりやすいが、「This one.」と言って買ったとしたら、一体いくらになるんだろう。
 僕は彼の、あの高くて細い声が好きだった。好きだったというよりも、あの声から滲み出る優しさに憧れを、発言することへの自信のなさに変なシンパシィを感じていた。
 「ネバーランドっていくらなんだろう」なんてことをふと考えてしまうのは、TVで最近連日のようにデーブ・スペクターがマイケルについて知ったような口でべらべらやっているからだろう。おそらく、デーブ・スペクターもそんなこと望んじゃいない。
 大使館を横目に、職場へと急ぐ朝。少しだけワッフルが食べたくなった。




 金があまりないだろうことは重々わかっていた。
 でも、まだ大丈夫だろうと思っていた。それがびっくりするほど間違いだった。ワッフルのような金持ちの食べ物を食べたいなんて、逆立ちしても言えた立場ではなかったのだ。


 昨日、エモーショナルレイバーの初稽古に行った。実は仕事中から、この顔合わせを控えもの凄く緊張していた。他の共演者のそうそうたる経歴に、完全にオドオドしてしまっていたんである。
 それぞれ簡単に自己紹介をして(この時本当に月並みな挨拶しかできなかったことを、下北沢から一人で帰りながら痛烈に悔やんだ。)、公演の概要や共演者の一人の衝撃的なプライベートの事実(僕には書けない)などを聞いたりアンケートを書いたりし、実際にあった振り込め詐欺の電話を文字に起こした物の本読みを結構まんべんなくやったりしたが、非常に楽しかった!
 「これは非常に面白い作品です!」と、胸の他に何か張りたくなるほど、そんな予感をはらんだ稽古初日だった。この拙文を読んでいらっしゃる方に約束したい。次の更新の際は必ず写真を撮る。

 稽古初日だから、軽くみんなで飲みに行くということもお約束だと事前にわかっていた。
 


 僕は昨日の日中、麹町で仕事をしていた。
 09:08にいつも通り四ッ谷駅に着いた時点で、財布には3000円以上は入っている自信がなんとなくあった。何がその自信に繋がっていたのか、もう今となってはあまり知りたくもない。飲みに行っても3000円以上はしないだろう、という自信とおそらく似たものかもしれない。
 口座にも1万円弱は入っている、こちらは揺るぎない自信があった。何も仕事をせずにプラプラしていた時期に、唯一した某清掃業の給料が、6/25に入っているからだ。要するに、総じて次の給料日まではなんとかやれると思っていたのだ。甘かった。

 朝、四ッ谷駅から仕事場へ向かう道中に銀行へ寄った。某清掃業の給料を下ろすのだ。しかし、残高は已然、もはや見慣れた3桁である。僕は自他ともに認めるドケチだが、どんな散財人種とてこれには眉をひそめることだろう。給料が振り込まれていない。これは一つ、激烈クレーマー宮川に戻るしかない。しかし現状で財布の中の3000円しかない、これはどうしたものか。
 そして終業後、稽古場へ向かう電車の中で改めて、財布を覗く。そこにはくたびれた野口英世が頼りなくひとりぼっちで横たわっている。あとは1円玉が2枚くらいあっただろうか。おかしい。天変地異の前触れだろうか、それともこれ自体が天変地異だろうか。そうだそうに違いない。

 家から仕事場までの交通費が僕の経済情勢を蝕んでいたようだ。
 この時ちょうど、iPodでThe BeatlesのMONEYを聞いていたのは、ただの偶然だろうか。
 ジョン・レノンが歌う。「今すぐ金をくれ、オレが欲しいのはそれだけだ。」素晴らしい。人間というのは金を持てば持つほど、社会的に自由になる生き物なのかもしれない。その逆もまた然りである。金は人間を自由にも不自由にもする。


 閑話休題。
 その日の昼休みに、某清掃業に給料の件で電話をかけてみた。
 「給料が振り込まれていない理由を教えろ」という問い合わせはあまりないのだろう、長い保留が続いた。
 その企業「○スキン」は清掃業ではおそらく業界最大手で、オフィス向けに「○リスタル・○ララ」という清浄水を提供したりもしている。よくオフィスの休憩室などで見かける、水の入ったタンクである。
 さてその保留中なのだが、保留音として有名なのはやはり「エリーゼのために」や「春の歌」なんかだろうか。
 その「ダスキ○」の保留音は、かの有名な「フニクリ・フニクラ」だった。『「フニクリ・フニクラ」をまさか保留音で聴くとはなー』と感心したのもつかの間、それはメロディだけだったらの話で、実際は先述の清浄水「クリ○タル・クラ○」をもじった替え歌である。僕はそれを聴いているうちにかなりげんなりしてしまった。
 「♪クリックラ、クリックラ、クリックラ、クリックラァ〜
   みんなで飲もう、クリックラのみーずっ♪」
 「♪クリックラ」の部分は耳を塞ぐとしても、最後の「みーずっ」の「ずっ」の部分はどう聴いても字余りである。それを4コーラスも聴いていると、余計に早く給料を払ってほしくなった。その字余りがイライラを誘うのだ。職業柄、クレーム対応の保留音まであれではないことを祈る。ただでさえ待たされている上に「ずっ♪」はないだろう、「ずっ♪」は。クレームで電話をかけてもあの曲が流れる始末だったら、全員が全員「クリスタ○・ク○ラ」の水を意地でも飲まないだろう。僕もその一人だ。


 そう、稽古の初日、まだ見知らぬ皆さんと仲良くなるためでもあるこの大事な日に、1002円しか僕は持ち合わせていなかったのだ。
 これは第一級のエマージェンシーである。かといって頼れるのはあの人しかいない。僕はたまらず電話をかけた。
 「お母さん?本当にごめん、ちょっと貸して…、振り込んでおいて…。」
 まさかその直後の稽古で同じようなセリフを言うとは思わなかった。僕はその稽古で、おかんは振り込め詐欺の電話がかかってきたら騙されてしまうのではないかと少し心配になった。
 とにもかくにも、親にまた借金をして何とかなりそうにはなったが、こんなにも金がない理由がわかった以上は、原付を活用しなければ。

 飲み会でだいぶ、みんながみんなと打ち解けたような気がした。そこに渦巻く全ての楽しさに無上の優しさを感じた。
 やはり芸人とミュージシャンの間の確執は拭えないようである。経緯は覚えていないが、居酒屋で隣の席になったミュージシャンたちと芸人たちの話になった。なぜやつらの持ち物がカッコいいギターケースで、我々がフリップなのか。柳沼さんと印宮さんは笑いながらお怒りだった。いちいちカッコいいミュージシャンのギターケースの中にも実はフリップが入っていれば、互いに手を取り合っていけるだろうに、と思ったが、僕が楽器をやっているという話になった瞬間「お前もそっちかーっ!」となって、嬉しくなった。昨日は見栄を張ってしまったが、実は僕はドラム以外何も弾けないんです。僕がギターをいじるのは完璧にマスタベイションです、主に使う手が違うだけで、何ら変わりはないんです。
 僕の芸名にも触れてもらえたが、由来を正直に答えてしまったのが僕の現状での腕なのだ。正直に答えるべきときと少し盛るべき時があるということを、頭ではわかっていても体に染み込んでいない。
 ただやはり、アドバイスを頂いたとおり、僕の子供にはコーヒーにちなむ名前を付けてあげよう、とは思った。
 カフェオレからとって男の子だったら「オレ夫」(ナビスコは無関係)、モカからとって女の子だったら「モカ美」、他にも「ミル」とか、案にも出た「再電話(サイフォン)」などだ。
 未だ見ぬかわいい我が子よ、覚悟しておくがよい。
 ただ、「宮川再電話」という名前はどうも事務的な気がしてならない。
 ペットは無論、ジャコウネコである。ジャコウネコに豆を食べさせて、未消化のうんこを干してコーヒーにする飲み方(コピ・ルアク)があるが、それはもう少し人間としての楽しみを失ってから試したい。だってうんこだもん。


 横道どころではない道に反れてしまった。
 要するに何が言いたいかというと、やはり金はあって足りることはないという物である。それがあることによって広がる人間関係や交友関係もやはりあると思われる。


 やはり、1年に1回は追突事故に巻き込まれておきたいというのがやはり本音である。
 今年はまだなので、いつになるか楽しみに待っているが今僕が運転しているのは原付なので、追突されたら死んでしまう。
 死んでまで欲しい物など僕にはない。死んでからそれを手に入れても、握りしめることすらできないのだから。
 そんなことを考えながら、15個入りで77円の冷凍餃子を頬張る毎日だ。





 今日麹町をブラブラ歩いていると、目の前でタバコをポイ捨てしているヤツがいた。
 「いい年こいてポイ捨てなんかしてんじゃねえよ、捨てに行け馬鹿野郎」と注意して、なぜ睨まれなければいけないのだろうか。
 ポイ捨てを見かけたらぶん殴っていい、なんて街に優しくておしゃれな法律はできないもんだろうか。ストレス解消にも役立つのに。



 コーヒーが冷めてしまった。こんなに長い文を書いたのはとても久しぶりだ。
 もう一度いれますかね、コーヒー。
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