
このタイトルをつけたということは、どういう魂胆かは見え見えなはずだ。
そう、できるだけたくさんの人に、知らない人にも、この日記に目を向けて欲しい、ただそれだけで、帰ってすぐにこの作業に取り組んでいる。
オレにとって甲本ヒロトという人間は、ただの好きな歌手というだけではない。
小学校6年生の時に初めて彼の歌声に耳を傾けてから、オレは彼でいっぱいになってしまった。
「ロケンローがあれば何もいらない」、その歌声を聴いて真っ先に心に思ったことがこれだ。その時からそのことはオレの頭で反響し始め、オレは何をするにおいてもロケンローを最優先させる人間になった。
ロケンローと言っても何も音楽だけではない、これはオレの持論だが。
ヒロトの歌詞、メロディ。もちろん真島昌利のそれらも同じく好きだ。彼らのそれらを、あの衝撃を受けてからずっと反芻し続けてきている。それは確かだ。
そしてオレという人間は、その反芻の結果できた形而下的存在である。それも確かだ。
彼がどんな人間なのかということを、オレがどの程度知っているのか。オレよりマニアックな人はごまんといるはずだし、オレみたいな人間に知ったかぶりされたら、さすがにあのヒロトでさえいい顔はしないだろう。「どれだけヒロトのことを知っているか」なんて、「どれだけヒロトのことが好きか」に比べたら、別にどうでもいいことだ。
陳腐な言葉は、いくらでも並べられる。そう、「彼の歌詞に共感できた」なんて言葉を、オレは書きたくない。聞きたくない。
彼の何が好きなのか、どんなところが好きなのか。
そう訊かれて答えられる自信は毛頭無いし、答えられるようになりたいとは思わない。答えられるようになったらなんだか淋しい気がする。
彼の唄を聴けば、オレが甲本ヒロトの何に惹かれるのか、すぐにわかるはずだ。
高校時代にみんなで撮った映画「虹色★ロケット」。
その関連というか、お話で、今上映していただいている下北沢トリウッドに行った。
今月上旬頃から、聞かされていた。「甲本ヒロトさんから虹色のコメントもらえるかも」。
昨日、友人Sから「コメントを頂いた」と聞き、今日は学校が終わるのと同時にバイクにまたがった。相変わらずエンジンが温まるのは遅かった。エンストを何回も。
トリウッドに着き、「みんないるんだろうな」と思って二階を見上げる。
「待てよ、このままヒロトのコメントを見てオレは、大丈夫なのだろうか。失礼にあたらないだろうか。」
つまり、少なくとも覚悟はできていなかった。
階段を上りドアを開け、みんなと合流。
「あー今終わっちゃった取材^;;」
「……ごめんみんな、たぶん取材に同席できてても集中はできなかったと思う。」
心のうちに、素直にみんなに謝った。
頭の中はこれから起こる大事件でいっぱいだった。
どうしよう、まだ。
今見て、オレは後悔しないだろうか…。何か、ヒロトからのコメントを見るにあたって、ふさわしい「タイミング」みたいなものがあるんじゃないだろうか…。今見たら、それをはずしてしまうんじゃないだろうか。
そんなことが頭の中を駆け巡っていた。何分くらいそんなタイミングなんてことについて悩んでいただろう。今思えば1分かもしれないし、もしかしたら3時間くらいウダウダしていたかもしれない。
意を決する、というのはまさにこういうことを言うのだろう。
コメントの方に歩を進める。
読む。
あれは立派な「事故」だ。
がつん、もしくはごつん、はたまた脳を吸い取られたかのような錯覚に陥る。
足下がおぼつかない、書いてある内容を、うまく脳が吸収できない。
そこに綴られた、漢字と平仮名と、カタカナしか見えなくなる。
フラフラする、フワフワする、グルグルする、コヤコヤする。
立派な「事故」だ。
日本全国で、甲本ヒロトを「神」と崇める人は、数百万人もいる。もっとかもしれない。いやもっとだ。
オレももちろん、その一人だ。
オレが出ている映画を、ヒロトが見てくれて、感想まで書いてくれた。
ヒロトが、オレらの作品に、一生のうちの74分を費やしてくれた。
オレと、ヒロトが、何らかの形で、繋がった。
高3の冬、虹色★ロケットの撮影に参加してなかったら、この事故は起きなかった。オレに声をかけてくれて、仲良くしてくれた、ラチカルのみんな。
今日、大槻さんと今後のラチカルとトリウッドのことに話したね。
オレの答えは、もうだいぶ前から出てた。
オレの短い人生で良かったら、一生かけて、この恩返しをさせてくれ。
虹色★ロケット、公式サイト
山崎貴、りんたろう、高嶋政伸、甲本ヒロト(敬称略)のコメントが読めます。
http://mippi.jp/7colorsrocket/
何が何なのか、どうなってるのか、ここは下北沢なのか、求名なのか、オレは誰なのか、イチゴが熟す前は何色なのか、夏なのか、冬なのか、イスが黄色いのか、オレが黄色いのか、ウィルコムは安いのか、明日はバイトなのか、オレのバイクの燃費はいくつなのか、ペペロンチーノは辛いのか、甘いのか、ラチメリアがの方が河の名前なのか、カルムナエなのか、どうなっているのか、何が何なのか。
その「事故」は、オレを確実にどうにかした。
どうにかした
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